ひとひらの願い―幕末動乱―
「奴はお前の言っていた通りのことを吐いた。…強風の日を選び、御所を燃やすってなぁ…!!」


意地悪な笑みを浮かべ、副長はこっちを見てくる。

まだ誤解されてるの!? 私!!


「いや、だから私は! 長州の間者なんかじゃないですからね!?」


まだ副長は、私に疑いの目を向けてくる。

私のことなんて、何一つ知らない人に、疑われたくはないけど。


「お前のことは信用してるから、大丈夫だと思っとけ。小姓を疑うのはよくねぇしな!」


フンッと鼻で笑い、こっちへついてこいと言われたので、私はおとなしく彼の背についていく。

それにしても、副長も何者なんだ…!?
鬼の副長として恐れられていたはずだったのに!!


「そ、それはそれは、ありがとうございます…」

「ま、信用してなきゃな」


仲間を信用できるということは、いいこと。

でも新選組には、どこかの間者がいる場合もある。


本当なら、信用しちゃいけないと思うんだ、私――…


< 35 / 98 >

この作品をシェア

pagetop