ひとひらの願い―幕末動乱―
「副長。私も信用してますよ、副長のこと」


でもきっとこの人には、一生裏切ることはできない。

はじめから私は信じていたんだ。


―この人の行動・言葉共に……

信じ合ってこその仲間だよ――…


そんなことを考えていたら、急に悲しくなってきた。

顔が歪む。
何故か不安に駆られて、体が震え始める。

それに気づいた土方さんが、私に声をかける。


「おい…? 大丈夫か?」

「大…丈夫……じゃないかも――…」


バタッ


私は、倒れた。

体は彼の――土方さんの腕に支えられていた。


だんだんと、意識が遠退いていく……


「おい、高蔵!! ―――…―…!?」


何か土方さんが言ったけど、それさえも聞こえなくなっていく。

だから半ば諦めの気持ちで、そっと重い瞼を閉じた。



闇にのまれ、自分が自分だということ、人だということさえも-…


全て分からなく――――…


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