ひとひらの願い―幕末動乱―
私は別に望んでもいないし、まさか鬼がこんなことするとも思ってなかったから、驚きっぱなし。


…でも、腕の中はとても温かくて、すごく安心する。


そうしているうちに、震えもおさまっていった。



「副長。私ずっと、貴方が鬼だと思ってました」


いきなりそんなことを言い出した自分に、自分で驚いた。

でも別に……何も感じないのは何でだろ?


「いきなり何を言い出すんだよ、高蔵! らしくねぇよ!!」


ポンッ


「いったッ!! 何するんですかいきなりっ!?」


副長は私の頭をやや強めに叩き、そのまま撫でた。
…撫でたぁぁあ!?


「何で撫でるんですかっ!?」

「お前が、小さい頃のあいつに似てると思ってよ。ま、これは俺じゃなく近藤さんがやってたことだけどな」

「"あいつ"…?」


似てる、とか……

まさか副長がこんな行動とるとも思っていなかったし、この人大丈夫か、とも思う。


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