ひとひらの願い―幕末動乱―
いいや!!
ありえない想像はしない方が身のため!

…もう、私は知らないっ!


「あ? 総司だよ。昔はあいつもかわいいもんだったのによ……いつの間にか、刀を握りゃあ鬼になっちまうようになった」

「沖田さんと私がですか!? …そんな、ありえませんて!!」

「いいや、似ていやがる」


"え、沖田さんと!?"
とか内心喜んでいる私がいた。
何で喜んでいるんだろ?

あのフワフワした感じの人と似てるとか言われても……ねぇ。
嬉しくなんかないはずなのに。


矛盾している自分がいるんだ。

全てが食い違い始めたかな、私。


「おい。どした? 珍しく黙りやがって」


気づけば私はぼーっとしていた。
副長の一言で、私は現実に引き戻される。

彼の手は、もう私の頭の上に置かれていなくて、どこか寒くなった気がする。


「え、いや。少し考え事してただけですよ…たぶん」

「たぶんって何だよ……ま、もう夕方、夜に近づいてる。お前は早く寝とけ」

「は? 寝るってどこで……」


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