ひとひらの願い―幕末動乱―
それは分かっていたはず…

目の前が真っ白になって、違う所にいて、しかもはじめに会った人は着物着てて……!


「いや…特に用という用は…」

「そんなこといわずに! ほら、お茶くらい飲んでいきません?」


沖田さん…やっぱり---…


「…ヒラメ顔ですね。……ハッ!! すいませんッ!!」


あぁ……私ったら、いきなり何言っちゃってるんだか…

しかも本人の目の前で…!!


慌てて口を押さえるけど、もう言ってしまった後…

恐る恐る沖田さんの顔を覗いてみる。


「へへっ! よく言われるんですよ~! まさか初対面の人にまで言われるとは…ぷぷ…ッ!」

「え…?」


沖田さん…何でか自分で笑ってる…

でもやっぱり謝らなきゃ…!


「す、すいませんッ…沖田さん…! いきなり変なこと……」

「いえ、別に気にしてませんし! いいですよ! ふふ…!」


目に涙を溜めて、沖田さんは笑っている。

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