ひとひらの願い―幕末動乱―
この町も次第に賑わいがなくなり、暗さが増すばかり。


さすがに体力のあまりない私にとっては、はっきり言って、疲れた……


「おい大丈夫か? 高蔵」

「あ……まぁ大丈夫ですよ」


心配そうに話しかけてきたのは、永倉さんだった。

ほとんど走って探しているから、そう言う永倉さんだって、少し息が切れている。


「女の子なんだから、無理しないでね」

「あぁ……はい」


今度は、藤堂さんまでもが声をかけてくれた。

またその言葉か……とも、嬉しいとも、思った。
やっぱり私は、一人のおなごでしかない。


「ま、あんまり気負いしすぎると疲れるからな。楽にしろ」

「そうそう! 何も背負わなくていいんだよ!」


肩に片方ずつ、ぽんっぽんっと手を添えられた。

慰め……られてる?
…いや、今の会話に慰めはいらないよね?

じゃあ何だ……!?


「分かってる。ま、あんな野暮な野郎は放っておけ。な?」

「そ! 沖田さんのことなんか気にしなくても大丈夫ですし」


何この人達…!?
言ってることが全然分からないんですけど!!


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