ひとひらの願い―幕末動乱―
第9章 暗闇の輝き
チリン―…  カラン――…
  チリン――…  カラン―…


歩く度に鳴る鈴と下駄の音が、交互に聞こえる。

それが私の耳に確かに聞こえるくらい、いつの間にか辺りには人気がなくなっていた。


歩き続けて、そろそろ5分くらいになるだろう。

夜がだんだん深くなっていくのが分かる。


でも、未だに分からないことがある。


…沖田さ~ん、局長~、永倉さ~ん、藤堂さ~ん、みんなぁ――…


そう…
完璧にみんなを見失ってしまった。

後にも先にも、それらしき人影さえ見当たらない。


「はぁ……」


これは困ったどころの問題じゃない!
山崎さんの言った通り、迷子になってしまったのだから!!

ため息をついても、仕方がないけれど。

誰かに道を聞きたい気分。
でもその誰かが、今はいない。

一人だ……


京都の道は、単純なように見えて、実は複雑だったりする。

だからこうして迷ってしまうんだ。


あ、副長達はどうしたかな?
あっちも探し回ってそう。


「…ん?」


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