ひとひらの願い―幕末動乱―
結局はみんな、私はみんなのことが好きなんだ。


かけがえのない大切な仲間達だからこそ、好きでいられるんだ。



「着いたぞ! お前ら、みんなを助けろ!」

「「はいッ!!」」


いつの間にか、眼前には池田屋の入口があった。

すでに外も中も、血の海と化している。


「うっ……」


慣れない臭いに、鼻が敏感に反応する。

思わず鼻に手を当ててしまうけど、そんな暇はないんだ。


"戦いたいと願っていた私が戦わなくてどうする!!"


そう自分に言い聞かせ、中に一歩足を踏み入れる。


副長に貸してもらった大小の刀。

私はその大きい刀の柄を握り、抜刀する。

暗闇の中で、その刃は月明かりに照らされ、微かながらも輝いて見えた。


そして軽快に二階へ続いている階段へと、足を運ぶ。
体は重いけれど、それでも足は先を急ごうとする。

これは、沖田さんが心配だから、なんだろうな。


まだ倒れていないといい。


そう願いながら、全ての階段を上りきった。


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