ひとひらの願い―幕末動乱―
「あ、そうだ! 近藤さん呼んできますから、ここで少し待っていてくださいね!」


答える暇なく、沖田さんはどこかにぶっ飛ぶようにして、走っていった。


―それよりこの格好---…

何!?
私、着替えてないしッ!!



タッ タッ……


開いている襖から、足音が聞こえる。

誰かの足音が近づいてくる。

これは沖田さんの足音じゃない……


しかも部屋の前で止まった!!

…私を誰かが、じっと見つめる……というよりは、睨んでくる。


私はそっと頭を上げ、顔を覗き込む。


「誰だ、てめぇ」


ん…?
この口調、誰だか分かる気がする……

もしかしないでも、それはそれは恐ろしい、あの鬼---…


「貴方は…土方さんですか…?」

「あぁそうだ。それより名乗れ。名乗んなきゃ、人呼ぶぞ」


やっぱり、この人は新選組の副長、土方 歳三だった。

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