ひとひらの願い―幕末動乱―
でもよく正面の奥の部屋を見てみると、あの色が見えた。


浅葱色が――――…


今にも倒れそうな、おぼつかない足取りで刀を構える、新選組の誰かが、そこにいた。


顔までは見えない。

でも、確かにあの色はそうだ。


忍ぶような足取りで、私はゆっくりとその部屋に近づく。

すると、聞き慣れた声が聞こえた。


「さぁ……早く来てくださいよ。長州の皆さん……ゴホッ…!」


さっき聞こえた咳と同じ咳が、目の前の部屋から聞こえる。

咳をする度に体が倒れそう。


もしかしてあの人は……!!


「―沖田ぁぁあ!!」


キーンッ……


叫び声と、刀と刀がぶつかる音。

それが同時に聞こえたと思ったら、ドサッという音も聞こえた。


あの人が……沖田さんが、一撃で長州の人を斬ったんだ……

斬ってからもまた咳をし、辛そうなのがよく分かる。


「…んの野郎ッ!!」


さっき沖田さんは、"皆さん"って言っていた。


まだいるんだ、そこに。


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