ひとひらの願い―幕末動乱―
―何で私、自殺しようとなんか思ってたんだろう――…


私が自殺して、世界が変わるとでも思ってたのかな……

なんて馬鹿な考えしてたんだろ。

幕末が好きなら、新選組が好きなら、隊士のみんなが好きなら。

私はもっと生きるべきなんだ。
もっともっと―――…


――グサッ


「織さん……っ!!」

「え――…?」


―でもここは、私がもっと生きたいと思っても、簡単には生きていられない時代。

目を開け、お腹辺りを見れば、それが分かる。


後ろから、私は一振りの刀に刺されていた。


着物に滲む血と、気持ち悪くなる匂い。

それが私を、夢へと誘う―…



「織さん、ちょっと待っててください…っ!」

「沖田…さん……」


私の体を優しく退かし、沖田さんは冷静に刀を鞘から抜いた。


「ひぃぃいっ――…」


叫びもまともな声にならないくらい速く、右脇腹辺りから左脇腹にかけて、沖田さんは斬ってくれた。

あんなに咳をして、吐血していたのに、ものすごく集中している。

やっぱり沖田さんには叶わないや……


< 79 / 98 >

この作品をシェア

pagetop