ひとひらの願い―幕末動乱―
「誰か…来ますね……」

「えぇ、そうみたいです」


人の気配がして、すぐに沖田さんに伝えた。


もう疲れ果てて、この場から動ける気力がない。

第一、足に力が入らない。

腕や手を動かすので精一杯になっていた。


「刀を…沖田さんに向けられたら……私、貴方を守ります…!」

「何、言って……」

「居場所を…くださった恩人を……命懸けで、守ります、から…」


何とか動く左腕を動かし、まだ鞘に収められていない、畳の上にある刀の柄を力なさげに握る。

でも、本気だった。
傷を負っているから役立たずなんて、絶対に嫌だから。

意地でもこの人を守り抜きたいんだ。

バタバタと早く階段を上る足音が聞こえる。

一人じゃない……二人…?


「二人ですか…」

「無理そうなら、私が斬ります。というか、やっぱり貴女は休んでいてください…!」


なんとか説得しようとしている沖田さんは、真剣な表情でこっちを真っ直ぐ見つめていた。

でも、私はその言葉に従うつもりはない。


「そっちの方が、無理です。もう私は…決めましたから」


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