ひとひらの願い―幕末動乱―
立ち上がろうと、足に力を入れようとする。

けれど、やっぱり両足に力が入らない。


何でこんな時に限って……!!


その間にも足音は近づいてくる。


「あれ……?」


気配も足音も二人だと言うのに、どこか違うことに気がついた。

一人目の人は、後ろの人に追いかけられてる……?

その証拠に、刀と刀のぶつかる金属音のような音が聞こえてきた。

それに、さっき階段を上っていたのに、まだこの部屋に辿り着いていない。


「……もしかしたら…」

「どうしました…?」

「…あの二人のどちらかが、新選組の人…かもしれません」


新選組が圧しているか、それとも長州か……
新選組に賭けてみる価値はある。

もしこの賭けに負けたら、それはそれで運命だった、ということにしよう……


「私は…新選組に賭けてみますけど……沖田さんは、どうします…?」


真剣な表情をしていた沖田さんは、私の言葉に驚いたような顔をして、それからにこっと微笑んだ。


「もちろん、私も新選組に賭けます…!」


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