ひとひらの願い―幕末動乱―
「何してんだよ高蔵っ! てめぇ、まだ生きてんだろっつーの!!」


え?私、もう死んだんですけど。

運命、受け入れた…つもりだったんだけど。


「織さん!! 斬られたのは貴女じゃないですよ!」


は?それどういう…意味で……

よく状況が飲み込めないんだけれど……


「お前らに襲いかかってきた奴は、俺が斬ったんだよ! 勝手に自分が斬られたとか、思ってんじゃねぇぞ!」

「そうですよ…っ! ふははっ…!」


…今気づいた。
うん、この二つの声の持ち主。

副長と、沖田さんだ……

そうと分かったら、瞼を開けた。


本当はまだ死んでなんかいなかった。


「はれ? そうだったんですか!?」

「自分に衝撃があったかなかったかくらい、気づけよ」

「てか織さん、おもしろすぎっ…! ふふ…っ!」


目を開けるなり、副長には呆れられるし、沖田さんには笑われる。


また幸せが戻ってきたみたいだなぁ…なんて。


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