ひとひらの願い―幕末動乱―
「やっぱりここは安心します……」

「あ? この屍が山積みになってる池田屋がか?」

「そんなこと、誰も言ってませんて! いッ……」


副長の言葉に反論した時、お腹辺りに痛みが広がった。

そういえば、そこに刀が貫通したんだった。
生きてる方が、不思議かもしれない。


「出血がすごいじゃねぇかよ! 大丈夫か!?」

「織さん……」


私の体に気づいた副長は、驚いて、慌てる。
沖田さんの傷への視線は、相変わらず真剣なものだった。

さっきよりも…いや、傷の痛みを忘れていた時のその前よりも、激しい痛みに変わっていた。

傷口が熱いじゃ済まないくらい、酷い痛みが腹部を襲う。


「下は…片付いたんですか…?」

「あぁ、まあな」

「そうですか……」


安心した……


でも、この池田屋事件で、藤堂さんは額に怪我、永倉さんも手を削がれた。

こうして私のように怪我をした人も、少なくはない。


「そういえば、副長……どうして私がここに居ると…分かったんです……?」

「あ? あー……勘だ、勘」


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