ひとひらの願い―幕末動乱―
どこか照れているようにも見える副長の顔を見て、思わず笑みがこぼれた。


だんだんと、また視界が霞んで、さらに歪んできていた。

そっと目を瞑る。


「はぁ……」


息を吐いて、耳をすませる。

外からなのか、下からなのか。
大きな気合いの入った声や、刀同士がぶつかる音。

いつの間にか沖田さんの苦しそうな咳も聞こえなくなっていた。
ここだけは、何も音がしなくて静寂に包まれていた。


「私の予言……聞いて…くれますか……?」

「予言…ですか?」

「何のだよ」

「まぁ、聞いてください……」


何から話せばいいだろう。
未来の、どんなことを話せばいいだろう。

ずっとずっと、後のこと……の方がいいよね。


ゆっくりと瞼を開いて、空気を吸う。


「この国は…日本は……今から150年後ぐらいに、平和が訪れます……」

「平和……か。さぞかし今とは違うんだろうな」

「その通り…です。そのうち、刀を持つことさえ、なくなります」

「刀……武士は居なくなってしまうんですか…!?」


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