ひとひらの願い―幕末動乱―
「総司。お前、こいつを隊士にしようとしてんじゃねぇだろうな」

「は? 違いますよ。ただ屯所の前に立ってたから、中に入れただけですよ」

「違わねぇだろ、総司。近藤さんまで連れてくるなんて、隊士にしようとしてるんじゃないのか!?」


土方さんは沖田さんの胸倉を掴み、喧嘩を始めようとしている。

これはもう、始まっている……?


それを止めようと、近藤さんが二人を宥める。

宥め役は、近藤さんこと近藤 勇の役なんだ。


「よさないか、二人とも。隊士にするなら、私が見るから…」


土方さんは沖田さんから手を離し、近藤さんに向かった。


「近藤さん、悪いこたぁ言わねぇ。だがこいつは-…"女"だぞ」

「「え」」


サッ---…


一斉に私の方を向く。

お二方はどうやら、気づいていなかったらしい。


「…名前、聞いてませんでしたよね?」

「あ、はい……」

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