悠久の貴女へ
呟いた声は、気合いの入った声と、竹刀の交える音で、自分にしか聞こえなかった。



優しさが怖くなるときがある。

笑顔が怖くなるときがある。


貴方は、儚い。

すぐに消えてしまいそうなほどに。


山南さんの心中と関係なく、私はただそう思っていた。

他人なんかじゃないから。


これは、考えることが嫌いな私が、久しぶりに考えたこと。

考えれば考えるほどに、頭が痛くなっていった。


無事に新年が迎えられると、いいんだけどな……


もうすぐ年が明ける。


雪が降りそうなほど寒い今日は、隣に誰か居てほしいと思ってしまうほど。

でも誰もいないから、仕方ない。


一年が過ぎるのが早いと思うのは、毎日が風のように過ぎていくから。


今年と来年では、同じ毎日が送れるといい。


できれば、悲しいことは避けたいな。



密かに、そう願った。

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