悠久の貴女へ
「―そのまさかや。そんな性格に見えへんのは事実やし」


「やっ、山崎さん!! …いえ、別に私は……」



またどこからか、山崎さんが現れた。

山崎さんが忍でなければ……なんて、今、思う。



「本当…ですか? 花を毎日、って……」



怒られると思って、少し弱気に言ってみた。



「あぁ、ほんまや。悪かったな。そこまで俺は冷たい男やない」


「いやぁ……山崎さんのその口調が冷たいんじゃないですか…」


「それは言われなくても分かってるつもりや」



少し喧嘩腰にも聞こえる山崎さんの声。

凛としていて、男らしい。

比べて私は、山崎さんより少し高めの、弱々しい声。

よく女らしいと言われるほどの。


その差で、私は山崎さんに勝てなかったんでしょうか?

それとも、山崎さんのどこかが良かったんでしょうか…?



「…初めての恋やった」


「え?」


「…あいつが、初めて恋した奴やった」


「山崎さん…?」


「山崎……」



らしくもないことを、突然口にした山崎さんのことを、思わず土方さんと二人で凝視する。

驚きのあまり、私は傘を落とした。


まさかこの人がそんなことを言うだなんて……予想もしていなかった。


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