悠久の貴女へ
「失礼しました」



―パタン


静かに襖を閉め、廊下を左に進む。


頭の中は、考えすぎて空っぽになっていた。


道場にでも行きたい。

でも、また山崎さんに止められそう。


自由な生活が、もう一度…ずっとしてみたいのになぁ……



「どうして私はこんな体に……」



部屋に戻って畳に寝ころぶなり、そんなことを口にしてみた。

誰だって思うだろう、こんなこと。


自分はもう、長く生きられない。

自分はもう、普通の生活ができない。

自分はもう、剣の道を生きられない。


全てが重くのしかかってくる。


どうして自分がこんな目に遭わなくてはならないのか……?



それは、誰に問いただしても分かることではないんだ。



そうと分かってから、もう何も考えなかった。


……はずなのに。



「どうしてまた考えようとしちゃうんですかねぇ……」



普通の体だったら、私は娶る気があったのだろうか?

…いや、どちらにしろ、私は娶ることはないだろうな。


剣の道に生きる私にとっては、邪魔なものなんだ、きっと。


織さんのような、おなごが――…


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