悠久の貴女へ
その時から土方さんは気に入らなかったのは、様子を見て分かった。

一方で近藤さんは、伊東さんを好いていたと思う。


長い沈黙の後、土方さんは重い口を開いた。



「伊東達はな、御陵警備任務を拝命したらしい。御陵衛士とか言ってたな」


「いつの間にそんな……」


「だから言ったろ。
奴は勤皇派に傾いた。端っからこうするつもりでいたに違いねぇ」



真剣な眼差しで、どこか遠くを見るようにして。


土方さんは伊東さんがこうするだろうと、前から分かっていたんだ。


でもまさか平助まで……

古株の同志までもが、伊東さんについていくなんて。


同じ流派の道場の出だからかもしれないけれど、何か考えがあってついていくんだろう。



「離隊するのは14名ほどだ。
実弟の鈴木、他は篠原、中村とかな。全員、あいつの論に共鳴しやがった奴らさ」


「これからどうなるんでしょうね……」


「…できれば、同志討ちはしたくねぇもんだよ」


「……!!」



"同志討ち"だなんて――…


芹沢さんを斬って……いや、その前からかもしれないけれど。



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