悠久の貴女へ
新選組の隊士を斬った時も多々あるんだ。


土方さんはそれを隊規に背いたからと、暗殺だの切腹だのとしたわけだけど……


別にそれが全ていいと思っているわけではなさそうだな。



「伊東さんは、きっと土方さんのことが好きだったと思いますよ?」


「なっ!? 何をいきなり…」



理由を聞かれたって、本当のことは土方さんに言わないつもりで言った。



「土方さんは格好いいですから」


「理由になってそうでなってねぇぞ」


「えへへ…」



何となく笑みを浮かべてみる。


今まで重かった空気に逆らうかのように。

土方さんもきっと笑ってくれるだろうと、そういう意味も含めて。


予想通りではなかったけど、土方さんは鼻で笑った。



「あ、そういやぁな。
斎藤を御陵衛士に送って、ちょいと監察の仕事を頼んだ」


「…斎藤さんを!?」


「あぁ。こういうことには、斎藤が適役だろ」



斎藤さんこと、斎藤 一。

三番隊組長で、よく性格の掴めない人。



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