悠久の貴女へ
そこには、敵の長州などの奴らが、『錦の御旗』を掲げていたという。


つまり、『錦の御旗』を持つ長州などは官軍になり、私達は賊軍となってしまったんだ。


朝廷を守りたいのは同じなのに――…


そう、土方さん達が嘆いていたことを思い出して。



「思えば、時は早く過ぎていなかったんですね」


「あれほど忙しく毎日が充実していたというのに…な」


「…でも、最近は妙に時が風のように通り過ぎていくんですよ」



一瞬を大切にしていこう、なんて綺麗事のようなことを考えていたのに。


私の隣を通り過ぎていってしまう時間。

もう取り戻せない時間が、幾千とある。


悔いのない人生……

私には無理のある目標だったのかもしれない。



「…そういえば、山崎さん達の具合はどうです?」


「油断ならんようだな」


「そうですか……」



鳥羽・伏見の戦争で、亡くなった隊士や負傷した隊士が数人いる。

その中の一人に、山崎さんもいた。


近藤さんと同じで、銃で撃たれたんだ。


今はまだ何とか生きていられるくらいだと思う。



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