悠久の貴女へ
彼の目には、何が映っているんだろう……?


少し見える目からは、この先が見えているとでも言うような、何かを悟っていそうなものだった。



「―ほんまのことを言うとな」



言いづらそうに口を動かす山崎さんをじっと見つめ、次の言葉を待つ。


何となく、よくないことだと予想はできていたけれど。



「―新選組も、幕府も。
もう終わりに近づいてるんや」



何も言葉が出なかった。


倒幕派に押されつつあるのに、山崎さんの言葉に反論なんてできない。

同意の言葉さえ出ない。



「もう俺も長くはない。
今でさえ半身を起こすので精一杯なくらいやし……」


「寝たらどうですか?」


「いや……
寝たらもうそれで終わりなような気がして寝られへんわ」


「そんな縁起でもないこと、軽く言わないでくださいよ…!」



この人はそんな風に思っていたんだ……


誰だって、今は明日が来るかどうかさえ分からなくて不安。


まさか山崎さんまでそうだとは……思ってもいなかった。



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