悠久の貴女へ
お墓に視線を移してみると、綺麗な花が供えられていた。



「土方さんでも…来たんですかね…」



呟いてみるけれど、返答はなく、ただ風が強く吹くだけだった。

風は生温い。

まだまだ夏はこれからが本番なんだろう。



「お線香はいいか…」



風が強いから、お線香をあげるのはやめた。


墓の前で、手を合わせ、目を瞑る。


入隊試験の時、私の竹刀の先が微かに揺らいだのは……

この病のせいだったのかもしれません。

…ただの言い訳ですよね。


あ、そういえば、織さんの遺品は土方さんが持ってます。



「…なんて言っても仕方ないか! ふふ…」



目を開け、自分に微笑する。

そんなことを言ったって、もう何も届かないんだ。



「山崎さんは……辛くないんでしょうかね」



山崎さんは表向きの死因しか分からない…はずだから。


決して他人じゃない人が亡くなったというのに、私よりも動揺していなかった。

ただ私が弱いだけなんでしょうか……



「山崎さんは、私より強い、とてもいい方ですからね。
織さんはいい人を見つけましたよ」



お墓に向かって、こうして話すことしかできない。

虚しい毎日ですよ。


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