悠久の貴女へ
「…結局、織さんはお茶も出せなかったんですね~!あれはさすがに驚きましたよ!」


「……総司」


「土方さんも驚いたでしょう?
私がお茶煎れてきたんですから!」


「…総司」


「何で私ができて、織さんができなかったんでしょうかねぇ」


「総司!!」


「……」



土方さんはさっきの一言以来、筆を動かしていた手を止めたままだった。


私は明るく振る舞ったつもり。

土方さんの背中は、それでも微動だにしていなかった。



「…お前、まだ忘れらんねぇのか」


「私は別にっ……!」


「…俺もだ。安心しろ」


「土方さん?」



いつもと様子が違う土方さんの背中を見つめる。

彼は文机に肘をついて、髪の毛をくしゃっとかき回していた。


土方さんが忘れられない……?

そんなわけは……



「あいつはもっと強くなったかもしんねぇのにな……」



ぽつりと、それだけ呟いた。


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