悠久の貴女へ
ついこの前も、新選組は戦ったばかりだった。

あれは7月19日のことだったかな。


あの時、土方さんはこう言っていたそうだ。



『くそっ……! 高蔵がいれば……』



決断力のある高蔵がいれば……なんて、洩らしていたらしい。


土方さんにしては珍しいと、素直に思ってしまった。



「……今のは聞かなかったことにしてくれ」



そう言うと、また手を動かし始めた。

でもついた肘はそのままだった。


…けれど、私にはもう何も言えなかった。



「はい。分かりましたよ、土方さん」



ただそれだけ、背中に微笑んで、言うことしかできなかった。



「失礼しました」



帰りは障子を静かに閉め、廊下に出てから空を見上げた。



―織さん、よかったですね。


貴女を思う気持ちは、誰も変わらないみたいですから。


雲一つない空に向かって、にこっと微笑んだ。



「はっ!」



誰にも見られてないかな…!?今の……

焦って辺りを見ていると挙動不審になって、余計に怪しまれそうだった。


「ふぅ……」


小さく、溜め息をついた。


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