久遠の想い人
「……き、し――――…織ってば!」



戻ってしまった元の世界を目の当たりにして、一瞬、頭がぼーっとしていた。


麗奈に肩を激しく揺すられ、ようやく私は我に返った。



「え、う……うん?」


「うん、じゃないよ!頭だけどこ行ってたの!」


「は、頭だけ?」


「また叶っちゃったわけ!?」



“また叶っちゃった”……?


あぁ、確かにそう。
また叶っちゃったわけだ!


でも、麗奈に自慢するわけにもいかないよね。



今日のことは、私と蒸だけの秘密にしよう――――…




「さぁ、どうかな~」


「うわ、図星?」


「ふふーん」


「教えてよ~!」



ちょうどハードルを飛ぶ順番が回ってきたから、麗奈の問いには答えずに走り出した。



最後の彼の表情が、晴れやかな笑みだったことを胸に――――‥


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