久遠の想い人
「外もいいんだけどねぇ。これから勉強するの大変だし……」



そう言っては、溜め息を洩らす美陽。


『楽か楽じゃないか』で決めるのが、美陽流の物事の見極め方らしい。



「内だったら面接だけなんだよね。はるにとってはいいんじゃない?」



そんなことを言ったのは私ではなく、今気づかないうちに右隣の席に座った麗奈だった。

美陽の観点を知っている麗奈は、勧めるように言った。



「そういう麗奈はどうなのさ?」



にっと微笑んだ美陽は、私に聞いたことを麗奈にも問う。


麗奈は美陽のように楽天家ではない、それは分かっているけれど……



「私は内にしようと思ってる」


「え!?」



麗奈としては珍しい答えが返ってきたから、驚いてつい大きな声が出てしまった。


麗奈が内だったら、美陽が内にしない訳がない!


一瞬、焦りのような感情が心を通り過ぎていく。



どうしてかと簡単に言うと、内に実質的に入学できるのは学校が決めた定員までの人、つまり早い者勝ちだから!


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