ゴーストオブアイデンティティー
傷一つ無い絹の手が、ぶちまけた様な血に染まっていた。


何かの破片が突き刺さり、目を背けたくなる程の痛々しさ。

何かの破片。

キーロックがかかった戸の、暗証番号を打ち込む部分。

粉々に砕かれていた。


何を…やってる?

運命が、壊した?


……このか細い腕の何処にそんな力が?


否、違う。

何だ、これは?

桐が絶句する中、運命は首を傾げ、桐が何も言えないでいると再び、拳を振り上げ、


ばきり


破砕した。





「ちょっ…何してるの!?」

我に返り、再度拳を振りかざした運命の腕を掴んで止めさせた。


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