ゴーストオブアイデンティティー
家族殺しの汚名を被ってまで行った事は、無意味だったのだろうか。


汚名を被る事を、幸福は拒まなかった。家族、もとい座敷家を憎んでいたし、家族を家族と思った事も無かった。


そんな殺人という「些細な」事実を突き付けられ絶望するほど、幸福は生温い生き方をしていない。

心の底から人の死を悲しむほど、偽善は持ち合わせていない。

      ・  ・
たかが人の二つや三つ、壊しても何が変わる訳でもなし。



この世に生まれた苛立ちに比べれば、そんな事は鼻で笑って生きられる。
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