ゴーストオブアイデンティティー
「遠い道程だから道草をくうんじゃないですか。それに休養は道草とは言いません」
彼女はヤナセから缶ビールをひょいと取り上げ、一口含み、顔をしかめた後、飲み込んだ。
唖然とするヤナセに、
「よくこんなモノを飲みますね。ヤナセの気が知れません。……?どうかしましたか?」
「…………いや、何でもないよ」
ため息と共に言うのを諦めた。間接云々は、彼女にとって大した事では無いのだろう。
少しの間、彼女を傍観した。
見とれた、の方が正しいだろうか。
未開封の缶ビールをしまい、代わりに甘味料の塊である炭酸飲料を飲んでほっとしている横顔には、人を惹き付ける魅力がある。
見ているだけで、心が休まるのだ。
数時間前、彼女が人を殺したという事実が有っても、そんな事はどうでも良かった。
彼女は、
『崩壊の先達者』ではない。
ヴィーナス
『戦慄の戦女神』なのだ。
ア テ ナ
血は、禁じ得ない。
彼女はヤナセから缶ビールをひょいと取り上げ、一口含み、顔をしかめた後、飲み込んだ。
唖然とするヤナセに、
「よくこんなモノを飲みますね。ヤナセの気が知れません。……?どうかしましたか?」
「…………いや、何でもないよ」
ため息と共に言うのを諦めた。間接云々は、彼女にとって大した事では無いのだろう。
少しの間、彼女を傍観した。
見とれた、の方が正しいだろうか。
未開封の缶ビールをしまい、代わりに甘味料の塊である炭酸飲料を飲んでほっとしている横顔には、人を惹き付ける魅力がある。
見ているだけで、心が休まるのだ。
数時間前、彼女が人を殺したという事実が有っても、そんな事はどうでも良かった。
彼女は、
『崩壊の先達者』ではない。
ヴィーナス
『戦慄の戦女神』なのだ。
ア テ ナ
血は、禁じ得ない。