ゴーストオブアイデンティティー
生みの親、だからか?


「――――いいえ」

はっとして口を閉じる。いつの間にか、考えていた事が口から洩れていたらしい。

「…」

何か言おうとしたが、止めた。言っても、無駄だ。

所詮、こんな人間なのだ。
今更釈明など、単なる見苦しさ。


…………

だが今彼女は何と言った?


「―――いいえ、ヤナセ」


コン、と軽い音をたて、空のアルミ缶をPCの前に置いた。

「聞いても、良いですか、ヤナセ」


無言で肯定する。




「ヤナセにとって、私とは、何ですか?」



答えなかった。
答えられなかった。

応え、られなかった。

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