ｺﾞｰｽﾄｵﾌﾞｱｲﾃﾞﾝﾃｨﾃｨｰ

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「――――うん、そう…うん、うん…わかってるって。大丈夫よ。母さんの方は？え？余計なお世話って？ふふ、そうかもね。そっか、父さんもいないんだ…うん、任せなさいって」


ライダースーツに身を包んだ桐が携帯に耳を傾けながら、バイクの方を横目で見た。


座席の部分に運命が腰掛けていた。
うぐいす色の和服と、バイク。ミスマッチながらも絵になるなと、桐は思った。


「それじゃあね。うん、バイバイ母さん」

通話を切り、運命の方へ向く。

運命は微動もせず、風景を眺めていた。特にこれといった何かがある訳でもない。田園風景と一軒家が建ち並ぶ、いたって普通の街並みの風景。

あえて挙げるなら、少し田舎の雰囲気が強い、という事か。