ゴーストオブアイデンティティー
勿論、止血方法など知らない。

応急措置としてベルトや千切った布で傷口を圧迫しているが、所詮は素人。出血は止まらず、少しずつ流れ出ている。

弾は貫通しているため、どちらかと言えば出た方の傷口が酷かった。


病院、行かなきゃな、と、あまりの激痛で朦朧としている頭で考える。



荒く息をつき、バイクの方へ這いずる様にして動く。


「桐、死なない?」


「……正直言って死ぬかもね」

ひきつった苦笑いで答える。

「死ぬんだ?」


「…死ね……ないわ。まだまだ、やる事沢山…残っているんだから」


死ぬ訳にはいかない。

運命を救わない限り、私に「死ぬ」の選択肢は無い。


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