ゴーストオブアイデンティティー
気が付けば病院で。

気が付けばベッドで横になっていた。

漂白剤で脱色されたような白色の部屋。足には包帯が巻かれ、腕には点滴の針が刺さっていた。



私はどうしたのだろう……

電話が途切れてからの記憶が、桐には全く無かった。



「あ、起きた。気分はどう?」


「先輩…?」

桐の寝ているベッド隣に、先程電話をしていた先輩が座っていた。

「先輩、ここは?」

「市立病院。ま、気い失ってたから分からないのも当然か」


先輩は、桐の耳元に置かれていたナースコールのスイッチを押した。

そのついでといった感じで、桐は頭を小突かれた。痛くはなかった。


「ったく………何血ぃだらだら流してぶっ倒れてんのよ?おまけに銃創?何やってんのよ大学生が。ボンドガールかお前は」

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