ゴーストオブアイデンティティー
「さ…運命は、何処?何処よ!?何処にいるの!?」


「失礼しま――――!?ちょっ…どうしたの!?しっかりなさい!!」
「桐落ち着いてったら!桐!」


固定された身体を無理矢理ベッドから引き剥がして起きようとする桐を、丁度入ってきた看護師と先輩に止められた。



「運命居ましたよね?居ましたよね!?バイク…そうバイクに乗ってました一緒に!連れ出したんですハコから…幸福から…幸福?まさか幸福が……!?」


「先生、鎮静剤、早く!!」


看護師が桐の上半身を押さえ付け、慌てて駆け付けた医師が桐に鎮静剤を打つ。


鎮まる桐。



「運……命…」


「何なのよ全く…」


それに答えられる者は、誰もいなかった。


運命は再び、


失踪した。

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