ゴーストオブアイデンティティー
其所にアイツが居ると知り、後は繰り返し、毎日アイツを見ていた。


傍観のみ。

声は、かけない。


アイツは何を見る訳でもなく、居座るだけで何もしなかった。


アイツには、何が見えるのだろう。虚ろにして、曖昧な視線で一体何を見ようというのか。

あの頃の自身――――僕には、見る事が出来なかった。


自分に出来ない事が有る。

恐らくこれが僕―――座敷幸福の、初めての…

『ゴーストオブアイデンティティー』






……………………信号機色が赤になり、幸福は回想から引き戻される。



……赤は、嫌いだ。

闇風を連想させられる。


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