ゴーストオブアイデンティティー
自分が言うのもなんだが、

闇風は、おかしい。

何がと言ったら全てが、と答えるだろう。


幸福は鳥肌が立っていた。名を聞くと、首筋を舐めまわされる位の不快感が幸福にわき上がる。

実際、何度もされた。

首に付いた唾液が思い出され、掻きむしりたい衝動にかられた。



信号機が青に変わる。
人波が動く。

幸福は、動かなかった。




恐らく、闇風は今も僕を見ている。どうせ『黒船』のプログラムでも書き換えて、じっと僕を見ているだろう。


見えない視線が、刺さる。
遠く、しかし近い。


と、

雑居ビルの大型スクリーンに、速報のニュースが流れ出した。

『日米、安保破棄――――――米国が日本に宣戦布告』


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