ゴーストオブアイデンティティー
「あーもーうるさいなーおねーちゃん。ちゃんと聞いてよ私の話?」



「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁあ……が…ばばば化け物!!」

一瞬、闇風の含み笑いが、途絶えた。

そして、

「……おねーちゃん」

その声が看護婦に聞こえたか否か。


部屋が、錆び付いた戸を開ける金属音に近い音ををたて、




潰れた。叩き、潰された。


圧縮に近い。病室の一室が、丸めた銀紙の如く、潰れた。


闇風の立つ部分を残して。

部屋の中心、立方体の中心点に吸い寄せられ、球体みたく固まっている。


その球体は、宙に浮いていた。原理は全く不明だが、浮いていた。


がれきの球体の隙間から、だらりと血が流れ出した。


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