ゴーストオブアイデンティティー
「違います、ヤナセ。闇風だからこそ、託したんですよ」


  ・・・
闇風だから―――――――

座敷幸福でもなく、

座敷儚でもなく、

座敷、闇風………………


思い返し、ヤナセは科学者の1人としての闇風は知りこそすれ、1人の『人物』としての闇風を何一つ知らない事に気付く。


「ヤヨ、闇風は、どんな人間なんだ?」

「……………どう答えたら良いんでしょうね?彼女の立ち位置、かなり異常になんですよ」


「いや、対面的でなく、内面での闇風を知りたいんだ。君の私観で構わないよ」


「私観…ですか」

難しいですね、と、ヤヨは照準を闇風の移動に合わせて微量に動かしながら、考えあぐねる。

出てきた言葉は、ヤナセの想像とはかなり違ったものだった。






「可哀想な、女の子」


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