ゴーストオブアイデンティティー
悔しくない。

しかし、虚しい。

私は何に負けたのだ?



涙はでない。渇れ果てたか。
ただ、悲しみを越え虚無に満ちたか。


ちりちりと、左足が痛む。


一発の、銃弾。

幸福から放たれた、一発の銃弾。


此れさえ無ければ、運命は此所にいた。



「私…負けたのね。幸福に」




座敷幸福に、競り負けた。


故か。

悔しくないのは。

虚しいのは。


負けて当然の相手と、自身の何処かで前提していたからか。

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