ゴーストオブアイデンティティー
…そうすると運命は今、幸福と共にいる事になる。

もしかしたら、もしかしなくとも、それは運命にとって良い結果となったのではあるまいか。


限り無く笑える。そんなもの、桐が一人で舞い上がり、自分で自分を弄んでいるのと同じではないか。

「自分で自分を弄ぶ…ね」

言い得て妙ね、と、妙に納得し、

起き上がろうと上半身を起こした。


看護師が遅い。何をやっているのだろう。

片足で立ち上がり、少々立ち眩みを我慢しつつドアに向かう。

職務怠慢で訴えてやるか、と軽く本気で考え、

「すみま――――」

ドアを、開けた時。




――――――爆音――――――


凄まじい爆音と衝撃が、桐の身に襲い掛かった。


「なっ――――!?」

叫ぼうとして、舌を噛みそうになり、口をつぐむ。
< 191 / 503 >

この作品をシェア

pagetop