ゴーストオブアイデンティティー
『その口調も悪い癖です。もっとも、あなたは――――』

「これは僕のアイデンティティーだと反論する、か?」

幸福の言葉に、肩をすくめる仕草をする『何か』


『……その意地悪さも、アイデンティティーですか?』

「いや」

口元を歪めて笑う。

「単なる、性格だ」



『…………それはそうと、幸福、彼女をどうするつもりですか?』


「倉崎桐の事か?別に何もしない。逃げもしないだろう。大人しくしているさ」

『いえ、座敷闇風の方です。何故、あなたは闇風をああまでして嫌うのですか?』


幸福は黙った。

何も言うことは無いと言わんばかりに、天井を睨み付ける。

『つまらない逃げ方です幸福。そんな事で全てが片付くなど、自分でも思ってないのではないですか?』

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