ゴーストオブアイデンティティー
「そう、有り難う。……何?」

ハン、と幸福が鼻を鳴らす。

「驚かねえのな」

「別に?あんた達のレウ゛ェルのを間近でずっと見てたら正直、どうでも良くなってくるわ。どうせ今のもあんたが好き勝手創ったAIか何かでしょう?」


「……可愛げの欠片もねぇ」

「御免なさいね、私、可愛げっていう言葉が一番似合わない人間だから」


『珍しいですね、幸福。あなたから可愛げなんて言葉が出てくるなんて』

「……生意気に茶々いれてんじゃねえ。たかが1000テラのAIが」


そう吐き捨て起き上がり、時計の近くに置いてあった1ドア式の古めかしい冷蔵庫から、栄養剤らしき液体の入った瓶を桐に放った。

放られた方の桐は慌てて両手でキャッチした。

「飲みたきゃ飲め。腐るほどある」

そう言って自分でも3、4本取り出し、一気に飲み干した。

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