ゴーストオブアイデンティティー
「………」

食欲は全く無かったが、喉の渇きはあったので、一息に飲み干す。

いたって普通の、変哲もない栄養剤だった。


強いてあげるなら、寝起きで飲む様な代物ではない、という事か。

「身体、壊すわよ」

「大きな御世話だ。それに人間の身体なんざ元々壊れてんだよ」

空瓶を台に置き、「薬を」と、呟く。

やがて冷蔵庫から軽い音が響き、幸福が開けると栄養剤の中に、何やらカプセル型の薬が詰まった瓶があった。

冷蔵庫とどこかが連結しているらしい。

「便利ね」

「お前等のやつが不便なだけだ」

瓶をひっくり返し、でた分だけ口に放り込む。水も無しで飲み込んだ。


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