ゴーストオブアイデンティティー
「こいつは生まれつきだ。病巣があるわけでもない。動けば、止まるし、動かなくてもやがて止まる。つまりは欠陥製品だ、倉崎桐」




人間なんて、元々壊れてんだ


幸福の先程の言葉。


嗚呼…なんて痛い…痛い…痛い
事実。真実。現実。


「いつ…死ぬ…の?」


あっさりとそんな言葉が出てくる己の口を、桐は呪ってやりたかった。

その問いにしばし黙る幸福。

が、


「お前今、何歳だ、倉崎桐?」

「…え?じ、19よ」


「てことは、だ。………………来年、か。だな」


あっさりと。

来年と。

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