ゴーストオブアイデンティティー
原因は不明。

ただ、死んでしまった。


心無き者は、生まれなかった。

「その実験は普通に公にしていてね。人権団体やら、何やら、がほざいて滅茶苦茶にしてしまったんだ。今でも悪名高い実験として語り継がれているよ。和樹、これを知らないとは、君も未だ未だ未熟者だね」

氷が融けて薄くなったアイスコーヒーを飲み下した。
思っていたより入れたカカオリキュールの量が多かったらしく、一気に酔いが回ってきた。


「もう1つ、聞きたい事があるんです」

「ん、何だい?早くしてくれ。結構キツいんだ」

分かりました、と苦笑いして、私に問うた。



「もし、その実験が中止されず、続けられていたら、どうなったと思いますか?」


「………それを考えるのは君自身の仕事だよ」

「じゃあ参考程度に。御願いします」


「………………水、持ってきてくれないかな?」

冷えたミネラルウォーターを飲み、じんわりと、頭を冷やす。

「有り難う」

コップを置く。

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