ゴーストオブアイデンティティー
「…それほどの存在なんですか?心無き者は…」

「……………君はもっと世界を知った方がいい」


NWOHG計画は、人類学の革命ともとれる、無類の計画だ。


座敷幸福を、創造する。

皆が皆、神への挑戦、といった意気込みで進めている。




が。


私から言わせてもらえば、愚象だ。


「和樹。君は座敷闇風に会った事は?」

「あります」

和樹は、眉をひそめた。思い出したくないとでも言わんばかりに。

「一度だけ。研究室を視察に来た時に遭いました」

「どうだった?」

「最低の人格ですね」

「………ほう?」

珍しい。和樹が吐き捨てた。


「科学者としては一流かもしれませんが、人間としては無価値です」

「…言うねえ」

ちょっと興奮してしまった。

和樹にはやはり若さが目立つ。苛立ちが辿り着くのが良い証拠だ。

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