ゴーストオブアイデンティティー
「……言ってろ。僕だっててめえとなんざ一緒にいたくねぇんだよ。てめえに限らず人間全て気に食わねぇ…」

「あら、じゃあどうして私を助けたの?情でも移った?」

幸福は鼻で笑った。

「勘違いするなよ。アイツの情報を聞き出す為だ」

「…随分と手際の悪いやり方ね。でもお陰様で助かったわ。ありがと」

「…うざってえ」


『幸福。逃げ文句にしては稚拙過ぎる気がしてならないのですが』

「……ムト。口は災いの元って諺、知ってる?」


『桐、私はAIとしてはトップクラスの完成度を誇ります。馬鹿にしないで下さい』

「そんな事聞いてるんじゃないんだけどな………空気、読みなよ」




「…でしゃばるなガラクタが」


とりとめの無い緩みに嫌気が差したのか、不意に幸福は立ち、


「出る。ムト、残存武器をリストアップしろ」

また無意味に、煙草の煙を燻らしはじめた。

桐は慌てた。
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